グルメシティ北鳴尾店、惜しまれつつ閉店

去る2023年9月30日、兵庫県西宮市にあるグルメシティ北鳴尾店が閉店。
今回は閉店日の様子についてレポートする。

店齢53歳の大往生

北鳴尾店がオープンしたのが1970年11月14日。実はあの京橋店より年上なのだ。
当時は「ダイエー北鳴尾店」としてオープン。今となっては数少ない店コード100番台のお店である。
(北鳴尾店の店コードは0199)
店齢53歳、お店としてはかなり高齢だ。
(注:店舗年齢を略して店齢[てんれい]と呼んでいる)

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この場所で街を見守り53年半以上。

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オープン当時はお隣も空き地だったみたいである。

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ここを何人のお客様が通ったのだろう。

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閉店日当日、2階にはレジはなかったが、レジのあった場所を見つけることができた。

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昔の店舗の写真。
これはお客様からの「店長への直行便」への投書をきっかけに貼られていたものである。

【店長への直行便】
店長への直行便とは、文字通りお客様から店長へ意見や要望、苦情などを伝えることができる投書箱である。
「お客様は最高の教師である」と中内CEOはある年の入社式の挨拶で新入社員に向けて語っているが、この直行便に投書されたお客様の声から学ぶこともあるのだろう。 

店長から

店長さんは閉店間際に店舗入口付近に登場。
あるときは地元のお客様から声をかけられ、またあるときは女子高生から声をかけられていた。
アルバイトだろうか。

閉店時間が近づき、店舗前で挨拶を待つお客様の様子を見ては涙ぐむ一面も。
そんな誰からも愛される店長からはこんな挨拶があった。
今回もテープおこしスタイルで。
どうも改めまして店長の●●です。
53年間のご愛顧ありがとうございました。
えー、ちょっと老朽化には勝てませんでした。
8月16日、朝の8時15分。
(電気系統の)部品がやられて停電しました。
台風で頑張った翌日でした。
それにもなんとか耐えて、この9月30日18時営業終了を迎えることができました。
えー、まあ老朽化とはいえども、私の力が及ばなかったこともございます。
もうそこは、従業員もお詫びしてますし、お客さんにもお詫びしたいと思います。
申し訳ございませんでした。(道路の向こう側に向かって)申し訳ございませんでした。聞こえますかー?
(お客様から「聞こえないって」と言われ)聞こえないですか?もうこれ以上無理でーす!
えー従業員各々、近くのダイエー、グルメシティへ行きます。
そこで、何卒うちの従業員、かわいがってあげてください。
本当にありがとうございました。
(道路の向こう側に向かって)聞こえましたか後ろの方ー! 

 - 北鳴尾店閉店の挨拶 
店長の人間性が窺える挨拶。
どこまでも気遣いのできる方。
地元の方に愛される理由がわかった気がする。

なお挨拶の後は「シャッターがないのでこのまま失礼します」と従業員と共に店内へ。
…と思いきや、店内にシャッターがあったので閉めることに。
(お客様から「シャッター閉まらんのかい!」というツッコミがあったのもある) 

最後は手を振って笑顔でお別れ。 

その後は従業員が集まってレジ横で集合写真を撮っていたようだ。
もちろん真ん中には店長

笑顔と、お客様に対する誠実さからはダイエーマンらしいオーラを感じ取ることができた。

北鳴尾店の立ち位置

先述した通り、北鳴尾店は数少ない店コード100番台の店舗である。
さて、どれくらいの立ち位置にいるのかというと、
店コードで考えた時にダイエー社内では現役店のうち4番目に歴史の長いお店である。
1番長いのがグルメシティ西明石店(0113)、2番手がグルメシティ西大島店(0156)、3番手がグルメシティ本山(もとやま)店(0174)、そして4番手がここグルメシティ北鳴尾店(0199)である。

ちなみに、株式会社ダイエー運営店舗で北鳴尾の次に歴史が長いのはグルメシティ小林店(0211)である。
なお、屋号が変わってしまった店舗を含めると西明石と西大島の間には今池(0127)が入る。 

地元から

北鳴尾店、地元の方が本当にお店のことに詳しそうに感じた。
一般的に店舗の営業終了の際は応援がくることもあるようだが、「前おった副店長さん、応援に来てはるみたいやわ」とお店の幹部を覚えている地元のお客様もいた。
これはマダムだけではない。若者もだ。
「●●さん知ってる」とか「よく見かける」など。
監視社会?いやいや、その地域に住んで地域のお客様のために頑張っているからこそお客様に覚えられているのだ。
本当に印象が悪かったら声なんかかけてもらえないだろう。 

実践

店長の様子を見ていると、ダイエーグループの誓いが頭に浮かんだ。
「人を愛し、店を愛して、日々美しい努力を続けます」 
これを実践しているように見えた。
お客様のために、従業員のために。美しい努力を続けてこられたのかもしれない。

[参考]
ダイエーグループの誓い

私たちダイエーグループの従業員は次のように誓います。
  • 一、この仕事を通じて、お客さますべてのより豊かな暮らしに奉仕致します。
  • 一、真心を込めて、よい品をどんどん安く売ることを働き甲斐と致します。
  • 一、人を愛し、店を愛して、日々美しい努力を続けます。
ありがとうございました。 
さて、北鳴尾店でも唱和されたことがあるだろうダイエーグループの誓い。
いま言える現役従業員は何人いるだろうか…。