2月28日は大きく変わる日

2021年2月28日。
毎年2月28日ないし2月29日は流通業では年度末に当たる企業があるため、大きく変わるものがある。
かわってくものもあれば、かわらないものもある。
2021年2月28日をもって変わるものについて記す。

ダイエー大島店の閉店

東京都江東区にあるダイエー大島店(0257)が閉店する。
1973年オープンであるので、店齢47歳だそうだ。
同世代の店舗としては現存するお店だと兵庫県神戸市のグルメシティ六甲道店(0255)。
無くなったお店も含めると、愛知県名古屋市の上飯田店(0254)、新潟店(0265)などがある。

店齢47歳、まだまだ若いように見えるが、ダイエー的には再建対象のようだ。
私は一度も訪問できていないので、残念でならない。

マルナカ消滅

四国、中国、近畿地方に店舗を置くマルナカおよび山陽マルナカが消滅する。
マルナカは58年11ヶ月、山陽マルナカは33年5ヶ月の歴史に幕を降ろす。
屋号は残るとされているが、法人格は消滅する。

マルナカはもともと創業者の中山家によって経営されており、かつて会長を務めていた中山芳彦氏は「瀬戸内の暴れん坊」 の異名を持っていた。
「瀬戸内リージョナルチェーン構想」を推し進めるべく、独立体制を守っていたが、2011年に「提携」といった形で自らÆONGROUPに飛び込んだ。

それから10年、いや、わずか10年で法人格が消されることとなった。
法人格がなくなるということは、再度独立へ向かうための道がなくなるといっても過言ではない。
どこにでもある普遍的なスーパーになってしまう危険性が大いにあるということだ。

さて、マルナカにはテレビCMでも使われ、店内でも放送されているテーマソングが存在する。
その名も、「ナカマカナ


歌っているのは、「ご当地ソングの女王」こと水森かおり氏である。
当時15歳とのこと。

いつ頃作られたのかはわからないが、古さを全く感じない。
今回の法人格消滅によって処遇が気になるところであるが、
なんとしてでも残して欲しいと思う。
これが、マルナカの「個性」を構成するものであるからだ。

ちなみに、この「ナカマカナ」外国人もノリノリでカバーしている。


外国人がどれだけ日本の歌を知っているかはわからないが、
いちスーパーマーケットのテーマソングをこんなに楽しそうに歌っているのを見るのは初めて。
無くしてはならない。改めて思う。

川口そごう、閉店

埼玉県川口市にある川口そごうが閉店する。
生年月日は1991年10月16日の店齢29歳。
ここは、かつてそごうが進めていたそごう30店舗構想、「トリプルそごう計画」の達成の地。
キャッチフレーズは、「世界へ。そごう新世紀、始まる
世界の素敵が川口へー国内外そごうグループの総力を結集した
30番目のバースデー
奇しくも、30番目のバースデーと呼ばれ1991年に産声をあげた川口そごうは、自分自身の30番目のバースデーを迎えられずに生涯を終えることになる。

さて、川口そごうは2020年3月から「さよならの前に、できること」と題してメッセージを発信してきた。
今回は長くなるが、その全てを紹介する。

2020年3月。タイトルは「最後の1年を、スタートします。
最後の1年を、
スタートします。

そごう川口店は、1年後の2021年2月28日(日)に閉店します。
お別れの言葉も、感謝の気持ちも、今はまだ
胸の中に、そのときまで、とっておきたいと思います。
あと1年、というより、まだ1年。
いつものように通ってくださるお客さまを、
笑顔でお迎えしようと思います。
3月はスタートの季節。
春から始まる新しい生活に期待を膨らませる人も、
きっとたくさんいるはずです。
わたしたちそごう川口店も胸をはって、
残り1年を、はじめます。ぜひ、足を運んでください。
特別なおもてなしはできないけれど、
誕生日に来店したお客さまへお花を一輪、贈ることにしました。

さよならの前に、できること。

閉店まで、まだ365
ちなみに、昨年閉店したそごうのうち、このようにメッセージを独自で出していることを確認できたのはここ川口そごうだけである。

2020年4月。タイトルは「閉店?それはまだ来年の話。(エイプリルフールではありません)
閉店?
それはまだ来年の話。


(エイプリルフールではありません)

先月、宣言した「最後の1年」について、たくさんの声をいただきました。
「今年、閉店するんだと思ってた!」

(来年の2月末です!早めの発表は、最後の日まで川口の皆さまと向き合いたかったから。)
「川口そごうで高校の制服買ったっけなぁ」
(今年も、新生活を支える品揃えをご用意しています。)
「誕生日の人に花を贈るって言っていたけど、どんな花?」
(季節の花をプレゼントします。4月生まれの皆さま、ぜひお誕生日にいらしてください。)
閉店は寂しい。でも、やりたいことが山ほどあります。
たとえば、10階レストラン街で実施している「ご家族で100歳記念!」企画。
ご家族の年齢の合計がちょうど100歳でしたら、
お食事の際にプレゼントをご用意します。
誰の誕生日でもない日が、家族の記念日に。
そんな、ささやかな幸せが集まって、百貨店はできています。

さよならの前に、できること。
百貨店は、人を育て、人に育てられるもの。
そして、特別な思い出づくりができるのも百貨店。
そのように思う。

2020年5月。タイトルは「おうち時間に、笑顔を。もっと。
おうち時間に、
笑顔を。もっと。


「子どものときにご褒美に連れていってもらった場所で、
 とても思い出深いです。」
こんな、嬉しいお声をいただきました。
そごう川口店には、たくさんのご家族の思い出が、詰まっている。
そう気づかされ、とても誇らしい思いです。
今月は母の日、来月は父の日。
家族について、考えるきっかけの多い季節ですね。
母の日には、今年も『母の日テスト』を、
父の日には、『父の日テスト』をご用意いたします。
意外と知らないお互いのことを、おしゃべりして、笑い合う。
そんなあたりまえで、幸せな、おうち時間も、
家族の思い出のひとつになりますように。

さよならの前に、できること。
母の日テストとは、株式会社そごう・西武が2018年から実施している親子の絆を確かめるテスト。
2018年に現役東大生38名を対象に解いてもらったところ、正答率33%という結果が出た。
東大生が「東大受験より難しい」と唸ったほどだ。
一年で一番、親について考えるこの時期に、思い出になる「世界で一つだけのテスト」だ。
私は知らなかったのだが、かなり話題になったようだ。
2020年にはついにカードゲームになったようだ。


2020年6月。タイトルは「なんでもない日を、ありがとう。
なんでもない日を、
ありがとう。


まだ、日常が戻ってきたとは言えないかもしれません。
それでも、なんでもない日の素晴らしさを
実感できるところまでは、やってきました。
気がつけばもう、衣替えの季節ですね。
今月は川口の皆さまとお約束した
「誕生日にご来店したお客さまに、花を一輪プレゼント」や、
10階レストランでの「ご家族で100歳記念!」企画など、
中断していたイベントも戻ってきます。
あと9か月、皆様に愛される店でいられるように。
距離は保ちつつ、感謝は忘れず、
私たちそごう川口店も模索しながら営業していきます。
突然の雨宿りにでも、お立ち寄りください。

さよならの前に、できること。
そごうのシンボルマークの「まるちきり」には「契り」の連想から、「客との結びつきを末長く大切に」も含まれている。
お客さまとした約束は、しっかり守る。だから愛されるのかもしれない。

2020年7月。タイトルは「史上最高に地元を楽しむ、夏。
史上最高に
地元を楽しむ、夏。


この夏、川口の皆さまはどのように過ごされますか。
今年はきっと、地元で過ごす時間の長い夏。
だからこそ、地元を再発見してみるのはどうでしょう。
たとえば、埼玉の県産品だけを集めて、家族で夕食をつくってみる。
地酒にぴったり合う地元のおつまみ探しも、ちょっとワクワク。
川口であれば、昔から醸造業が盛んで、お味噌が美味しいですね。
また、川口といえば鋳物の街。 現在もベーゴマが造られています。
そのベーゴマをかたどった可愛いクッキーをお子さんと食べながら、
懐かしい遊びについて語ったり、試してみたり。
そして、日々の中で気分をパッと晴れやかにしたいときは、
そごう川口店の屋上から、
夏の空と川口の街を眺めるのも意外といいですよ。

さよならの前に、できること。
疫病が流行った2020年。帰省がしにくくなるであろうと考えた川口そごうは、地元で楽しむアイデアを地域のお客さまにご提案。「ストレス発散したくなったときも、ウチにおいでよ」とメッセージも。
読んでいるだけで、泣けてくる。

2020年8月。タイトルは「それでも、夏をあきらめない。
それでも、
夏をあきらめない。


先月の7月18日〜今月1日までの休業期間中、
大変なご不便をおかけしました。
現在は、エントランスでの体温測定や、
店内各所での消毒液の追加設置など、対策を強化し、
改めて、お客さまをお迎えできる体制を整えました。
今年の夏は、本当に予定通りにいかないものです。
ただ、予定とは違っても、私たちはこの夏の愉しみを
あきらめたわけではありません。
遠方への旅行の代わり、と言っては大袈裟ですが、
日本各地から涼やかな銘菓を集めてきました。
日替わりのお取り寄せ地方食材もご用意しています。
私たちの「有終の美を飾ろうとしていた想い」を
心配してくださった皆さま、大丈夫。これからです。

さよならの前に、できること。
遠出ができない。それでもたのしんでもらおうと色々考えていたようだ。
我々は負けない」という強いメッセージを感じる。

2020年9月。タイトルは「最後の1年も、残り半分。
最後の1年も、
残り半分。


来年2月の閉店まで、いよいよ折り返し地点です。
予想外の休業もありましたが、
「閉店は残念」「何とか撤回できないか」など、
皆さまからのあたたかいご意見が励みとなっています。
この毎月のメッセージは続けながら、次は、各売場からお客さまへ、
今だから伝えたいメッセージを形にしてお届けします。
普段は扱っていない、これぞというおすすめ商品を、
週替わりでご紹介していく試みです。(10月以降もずっと!)。
たとえば、地元・埼玉の素材やデザインにこだわった雑貨やアクセサリー。
イエナカで気軽にできるエクササイズグッズや癒しアイテム。
これまで以上のお買い物のワクワクを通して、
お客さまと私たちでメッセージを交換していく。
残り半分の、はじめの一歩です。

さよならの前に、できること。
もう半分、まだ半分。お客さまのために、できることをやる。そごうの姿勢に感動。

2020年10月。タイトルは「29年分の思い出を、聞かせてください。
29年分の思い出を、
聞かせてください。


今月で、そごう川口店が誕生して丸29年。
長いようで、あっという間。
たくさんの思い出が詰まった、29年です。
オープン前には、近隣のお客さまのもとへ、1軒1軒ご挨拶に伺いました。
当時、あたたかく迎えてくださった皆さま、本当にありがとうございました。
30年目も、またあの頃のように、皆さまとお話がしたい。
そんな願いから、エントランスにメッセージボードを設置しました。
「そごう川口店の思い出」を聞かせていただけると嬉しいです。
おひとりでのお買い物、お子さんやご両親との大切な時間に、
私たちは少しでもお役に立てていたでしょうか。
皆さまからの、たくさんのメッセージを想像しながら、
新しい思い出になるかもしれない今日も、
笑顔でお待ちしています。

さよならの前に、できること。
2020年10月16日、川口そごうは29歳の誕生日を迎えた。
しかし、2021年の誕生日を迎えることはできない。
「30番目のバースデー」と皆に祝ってもらった生まれた日。
自身の「30番目のバースデー」はやってこないのだ。
そう思うと、とても悲しい。
最後の誕生日メッセージと思うと、とても寂しく見える。

2020年11月。タイトルは「ずっと、川口の街と人のファンです。
ずっと、
川口の街と人の
ファンです。


「そごう川口店のレトロなエレベーターが好き」
「子どもの頃、シースルーエレベーターに乗るのが楽しみだった」
私たちのもとにこんなメッセージが届いています。
実はこのエレベーター、天気がいいと富士山が見えたり、
隠れファンの多いポイントだったりするんです。
たとえ大勢に理解されなくても、誰かに話すほどでなくても、
お客さま一人ひとりの心の中のそごう川口店が、
色あせず存在すること。 それが、私たちの誇りです。
駅前に店を構えて29年、建物はだいぶ年季が入っているけれど、
今日もフロアの隅々まで磨いてお待ちしています。
11月10日は「川口の日」
大好きな川口の街と人たちに、自分ができることは何か。
販売員各自がネームバッジに行動指針を書き込みました。

さよならの前に、できること。
一般のお客さまだけではなく、我々「逸般のお客さま」もしっかりわかっている。
29年分の恩返しとしてできることは何かを考え、行動する。
当たり前のようでなかなかできないことだ。

2020年12月。タイトルは「もらう時も、あげる時も、あなたのそばに。
もらう時も、
あげる時も、
あなたのそばに。


クリスマスのプレゼントは、もうお揃いですか?
可愛い笑顔のために、準備はかかせませんよね。
この29年で、人気のおもちゃも随分と変わりました。
そごう川口店ができた1991年当時は、
「ゲームボーイ」や「スーパーファミコン」が人気沸騰中。
友だちの家に集まってプレイしたり、裏技を教えあったり、
たくさんの子どもたちを夢中にさせたものでした。
「懐かしい!」という方も、「私の頃は…」と語りたくなった方も、
ぜひ7階おもちゃ売場を覗きに来てください。
あの頃のドキドキやワクワクを思い出したり、
新しい発見に驚いたり。
大人ならではの楽しみも、プレゼントと一緒に、
見つけられるかもしれません。

さよならの前に、できること。
もしかしたら、そごうでプレゼントを買ってもらった、おもちゃ売場でドキドキした思い出のある販売員がいるのかもしれない。
そして、その当時からそごうで働いている販売員もいるのかもしれない。
最新のトレンドを知るには、おもちゃ売場を歩くのも良さそうだ。

2021年1月。タイトルは「別れの年こそ、晴れやかに。
別れの年こそ、
晴れやかに。


川口の皆さま、
明けましておめでとうございます。
年の始めから終わりの話をするのもなんですが、
いよいよ、残り2ヶ月となりました。
大変な1年を皆さまと共に越えたからこそ、
たった2ヶ月だけの新しい年を、本当にありがたく感じます。
私たちにできることを、まだまだ、よりいっそう。
閉店50日前の1月10日には、
愛らしい春の花を500本用意してプレゼント。
世代を超えて川口店との思い出を残していただけるよう、
成人の日の写真撮影会を、20歳の方はもちろん、
10歳、40歳、60歳の方にも。
こうして最後まで前を向きつつ、晴れやかな顔で改めてご挨拶を。
今年もよろしくお願いいたします。

さよならの前に、できること。
最近よく聞く「二分の一成人式」にも対応した企画。
2021年、川口市成人式「令和3年はたちの集い」はCOVID-19感染拡大の影響を受けて中止となった。
成人式は一生に一度の思い出。
男性もだが、特に女性は数年前から準備を進めるそうだ。
成人式は中止になっても、川口そごうで思い出を残すことができる。
そう考えると、素晴らしいことだと思う。

2021年2月。タイトルは「最後の1ヶ月も、いつも通りに。
最後の1ヶ月も、
いつも通りに。


ついに、あと1ヶ月。
泣いても笑っても時間は同じなのであれば、
やっぱり、笑っていたいものです。
だからパーッとお祭り騒ぎ…のはずが、このご時世。
セールの日々でも平常心。
ひとつひとつの接客を慎重に丁寧に。工夫して。
そんな試行錯誤の締めくくりが、
実は、私たちに合っている気もします。
閉店のお知らせからここまで、
たくさんの声を聞き、お話しをしてきました。
さぁ、最後の1ヶ月。
1ヶ月は、案外、長い。

さよならの前に、できること。
最後まで、お客さまの笑顔のために考え続ける。
何もなければ、お祭り騒ぎしたい。その気持ちは、みんな同じ。
はっきり書かなくてもわかります。悔しいですよね。


…そして2021年2月23日。ないと思っていた最後のメッセージが出現。
最後のタイトルは、「さよならの前に、できること。
さよならの前に、
できること。


そごう川口店は、
2021年2月28日に閉店いたします。
1991年10月16日の開店から現在までに、
延べ1億6000万人を超えるお客さまが買い物をしてくださいました。
「さよならの前に、できること。」
この目標を掲げてスタートした、最後の1年。
お客さまと川口店との思い出を、たくさん語り合うことができました。
お久しぶりのお客さまに合って、元気を喜び合うことができました。
お客さまの誕生日を、お花のプレゼントで祝福することができました。
いろいろあったけれど、お客さまを笑顔でお迎えすることができました。

もう、新しいメッセージはないと思っていた皆さまへ。
しつこいですが、最後の最後の瞬間まで、言わせてください。

本日もご来店、ありがとうございました。

さよならと、ありがとうを。
笑顔でいる人も、泣いている人もいるだろう。
きっと、泣いている人は、嬉しく、悲しく、寂しくて泣いているのだろう。

しかし、最後のメッセージはさすがだ。
「客との結びつきを末長く大切に」の考え方通り、川口そごうを末長く愛してくれたお客さまに最後の想いを書いている。

本当に、なぜこんなに素晴らしいことができる川口そごうが閉店するのか。
非常に残念でならない。

番外編 - 10年前になくなってしまったもの -

10年前の2011年2月28日をもって無くなってしまったものがある。
みなさま、「MYCAL」「SATY」 を覚えていますか。

そう、2月28日はマイカル、ならびにサティの命日です。
今年で消滅から10年を迎えます。

非常に酷なのが、サティは屋号を、マイカルは屋号と法人格もろとも消されたのです。
もっとも、ÆONに助けられたというのは事実ですが、宣伝の効率化とかなんとか理由をつけて歴史あるかつ上品なものを消されたのです。

Twitter上では、「#BeingSomethingNewSATY」のハッシュタグでタイムラインを埋め尽くそうという企画が展開されています。 
私も写真はないもののちらほら投稿しています。


さて、本日2月28日はサティの命日です。(大事なことなのでry)
サティのために作られた歌「Puzzle fantasy」を聞いてみませんか。
閉店放送でも使われており、私自身は常々「閉店放送の最高峰」と言っています。
計算上、20時49分41秒から動画を再生すると、21時ちょうどにPuzzle fantasyが流れます。
時間の確認は117番の時報または日本標準時の時計を使いましょう。


肝心の動画はこちら。


みんなで、サティを思い浮かべましょう。

Forever, "being something new, SATY".