人生で一番観た作品

昨年末に教えていただいて観た「かがみの孤城
あれから週に1回以上見続け、記事執筆時点で11回観ている。
あの「若おかみは小学生!」を超えたのだ。
「そんなに良いのか?」と思われるかもしれないが、とても刺さる作品である。
公開日が2022年12月23日、それから9週間。2023年2月17日までの累計で約81万人を動員
興行収入10億円を突破しているのだ。 

さて、11回目はとある劇場で観てきた。
大きめの劇場であったのだが、時間的なものもあったのか入れ込みはまずまず。(空席率95%)
しかし、劇場が大きいと音響も素晴らしい。
事実、心に響いてまた涙が流れた。

名作かどうかは言うまでもない。
現代人に必要な作品であると思っている。 



以降、わずかなネタバレを含むので観た後に読むことをお勧めする。 

監督のお話

この作品では、「いじめ」と「不登校」の問題が取り扱われているが、
作品中では「いじめ」は解決しないまま終わるのだ。
解決していないじゃないか!」という口コミがあるらしいが、それに対する回答が監督からあった。

(前略)
よく言われているのが、「いじめの問題が解決されていない」ということを、この映画を否定する要素として言っている人がいる。
だけど、いじめの問題ってそんな簡単に解決することじゃないからね。
で、オレ考えたんですよ。 その反対意見は意見として。
じゃあ、そういう人が満足のいく結果はどういう結果だろう、と。
例えば、真田たちを喜多嶋先生やこころが諭して、彼女たちがこころに謝る。
めでたしめでたし。

そんな映画はね、オレ観たくないよ。嘘くさくて。つくりたくないし。
あの、映画って、道徳の教材じゃないんだよね。

そういうこと言う人は、今自由な時代だけど、そう言う人たちに合わせて映画は作りたくないですね、僕は。

(中略)

もちろんね、だから「いじめはなくならないよ」と放り投げたつもりはないんですよ。僕は。
こころはこころで、最悪な状況から、 まあちょっとファンタジーの力を借りて、ですけど、それまでと違うこころになれたわけじゃないですか。

だから、現実の学校とかでも、そういうことは可能だと思うんですよね、僕は。
それをやっぱ信じたいと思うし、いや「いじめ解決してないじゃん!」って言う人は、どうぞ、いじめをなくす努力をしてください、って言う感じですかね。

…真理である。
私も、手を取り合ってごめんなさいで終わるものは「ウソ」であると思っている。
この原恵一監督の話を聞く限り、相当な強い意志をもってつくられた映画だと思う。 

実際、いじめの問題など解決することはほとんどないと思っている。
謝って済むなら苦労しないし、社会問題になっていない。

それこそ、「私、あの子とケンカなんてしてない。そんな軽いもんじゃない。」なのだ。
(ケンカは両成敗であるが、いじめは一方的。)


萌ちゃんの考え

終盤。
東条萌ちゃんの考えがまさに真理である。

だってあの子たち、恋愛とか、目の前のことしか見えてないんだもん。 
成績も悪いし、ガキっぽいし。10年後も20年後もあのままだよ。
きっとろくな人生送らないよ。 
うーん、その通りだと思う。
バカみたいだよね、たかが学校のことなのにね。
これは救いである。
ただ、中学生って多感な時期で、学校が全てになってしまう場合がほとんどだと思う。
とはいえ萌ちゃんのこの考えはどこでもそうなのだ。

なので、当事者はそう思えないかもしれないが、「たかが学校」でいいのだ。

イケメン先生ー!

担任は絵に描いたようなトンデモ先生である。
いじめ問題については「行き違いがあった
真田については「誤解されやすい子だし

しまいには「どうだ、一度真田と会って話してみないか?」と。

いや、、、ね。
我関せずというか、頼りにならないな、というか。

喜多嶋先生から「あれは、ない!」と語気を強めて言われるはずである。 

こころの気持ちに共感できる方なら、何がアレなのかわかると思う。

エンドロール

あの演出はずるい。
また泣ける。

私は主題歌を配信で何度も聞いているが、 劇場で聞くのはまた違うのだ。
あの映像があるから泣けるのだ。(歌詞の中身がよーーーくわかるはず)

それと、スペシャル映像。
あれは感動しかない。
ポストカードで見るのと、映像で見るのと違うのだ。

大丈夫、大人になって。

これがこの作品からのメッセージである。
監督も舞台挨拶の場でこのように仰っている。

(前略)
この映画を観た人たちの中に、やっぱりものすごいどん底にいるような人もいると思うんです。
だけど、中には、アキちゃんのような選択をしてしまう子供もいたりすると思うんですけど、 どうか、生きることを諦めないでください。本当に。
それだけ、本当にお願いします。
どん底は続かないですから。絶対大丈夫です。なんとかなります。
(後略) 
大人になったら素晴らしい人生が待っている、とは言えないけれど、大抵のことはなんとかなる。
人生に希望を与えてくれる素晴らしい作品である。
 

どこまで続く?

3ヶ月続くかはわからないけれど、3月1日はどこかで上映されていると思う。
事実、公開から2ヶ月経過しようとしているのに劇場によっては満席が出ているのだ。


上映を終える劇場が出ている中、これはすごいことだ。
私は上映が続く限り観に行きたいと考えている。