ダイエー今池店、惜しまれつつ閉店

去る2024年2月29日、愛知県名古屋市千種区にあるダイエー今池店が閉店。
今回は閉店日の様子についてレポートする。

東海地方初出店の歴史に名を残す店

ダイエー今池店がオープンしたのが1969年11月30日。ダイエーとしては「東海地方で初めてのお店」であった。
(ダイエー公式資料には「名古屋進出第一号店」とあるが、それ以前に愛知県および東海地方に出店した記録はない)
オープン前には地元商店街の反対に遭ったと記録がある。
その際、ダイエーは強行することはなく、地元商店街の関係者何度も関西へ呼びダイエーの実態を見てもらった。
また、今池店周辺の6万世帯を戸別訪問したほか、チラシを25万枚も配ったという。
その効果か、地元商店街は「共存共栄」路線へ転換。
事前の地元への対応が功を奏したのか、開店前からは三重の人垣ができ、開店初日は10万人のお客様が来たという。
(閉店時までお客様が列をなしたのはダイエー今池店が初めてでは、と言われているそう)

IMG_4514
店齢としては54歳と2ヶ月。ダイエーとしてオープンしたお店の中では西明石店(0113)の次に歴史が長いお店となっていた。(店コード:0127)


IMG_4513

お店の前の商店街は通称「ダイエー通り」正式には「今池東南(とうなん)商店街」というらしい。
看板が変わっても「ダイエー通り」であり続けた。


FullSizeRender

2階にある喫茶店「パーラー バラード」。昔ながらの雰囲気が残るレトロな喫茶店である。
会計の際に店主の方にお話を伺ったところ、オープン当初からあり続けたようだ。

FullSizeRender

幾度ものリニューアルを乗り越えて残り続けたダイエーの標準サイン。
「引く」のステッカーを含めた施策の名を答えられる者がどれぐらいいるだろうか。


FullSizeRender

ダイエーのデザインであるお酒売場の看板。


FullSizeRender

2013年10月12日のリニューアルオープンから10年4ヶ月半、まさか閉店の日を迎えるとは誰も思わなかっただろう。

FullSizeRender

リニューアル時についたであろうダイエー4代目ロゴマークをあしらったデザインの扉。

FullSizeRender

清らかな心で見れば、何かが見えるはず。

FullSizeRender

こら、小細工をするでない。

FullSizeRender

最後まで残り続けました。

閉店セレモニー

閉店セレモニーの会場はパン店のイートインコーナー。お酒売場にギャラリーが入る形に。
当初は19時15分頃からセレモニーを行う旨案内されていたが、実際に始まったのは20時5分
異例の50分遅れであった。
(18時頃から待機していたため2時間近く待つ形に…)
なお、決してお店側の手際が悪かったわけではない。あまりに多いお客様にレジが捌くのに時間がかかっていたようなのだ。それだけ愛されているお店だということであろう。

20時5分頃、まずは地元商店街の「今池東南商店街」が所属する「今池商店街連合会」の会長の挨拶が始まった。
今回もここに全文を記す。
えー、こんばんは。
先ほどご紹介いただきました、今池商店街連合会の●●です。
えー、簡単にご挨拶をさせていただきたいと思いますが、
54年前に、愛知県、東海地区で初めてダイエーがここにできました時から、生活必需品を買う場所としてですね、大変長い間お世話になりました。
えー、今池商店街連合会もですね、平成元年に発足をいたしまして、今年で36回目の今池まつりを開催する予定であります。
この間、●●様にはですね、商店街の発展のために大変ご協力をいただき、感謝を申し上げる次第でございます。
また、地域の発展にもご尽力をいただきました。
ここにですね、その感謝の意を表しまして、店長さんに、花束を贈呈したいと思います。
また、新しい●●としてですね、ここに戻ってきていただけることもお願いいたしまして、花束を渡したいと思います。
長い間ありがとうございました。

 - 今池商店街連合会 会長の挨拶
花束贈呈が行われた後、店長の挨拶が続いた。
私、あの、ÆON今池店の店長の泰山と申します。
えー、本日は、悪天候の中、ご来店いただき、また、ÆON今池店の「歴史の幕引き」の場にお集まりいただき、ありがとうございました。
私は、店舗を代表し、最後の挨拶をさせていただきます。
ÆON今池店は、ダイエー今池店として、1969年、この地に、ダイエー名古屋出店一号店として、出店しました。
それから2015年、ÆONとなって、今日に至るわけなんですけれども、今では、ÆONの店舗の中で、最も歴史の古い店舗となりました。
その間、実に54年間。この地で営業させていただいたのは、皆様方、地域の皆様方のご支援の賜物だということで、痛感しております。
私も、名古屋出身で、学生の頃、よく、ここの今池店をご利用していました。
とても思い入れのある店舗で、今回、一時休業となることは、とても寂しい気持ちでいっぱいです。
皆様方におかれましても、ここでの思い出を、心のどこかで留めていただければ、我々従業員一同、この上ない幸せと感じます。
最後になりましたが、1969年から、今日まで、今池店を支えていただき、どうも、ありがとうございました。

 - 今池店閉店の挨拶
最後はお店の入口で、店長の「54年の長きにわたりご愛顧いただき、本当に、ありがとうございました。」の挨拶で幕を下ろした。

店長の「学生時代に来ていた」という話から分かる通り、皆に愛されたお店だったようだ。

なお、今池店の閉店に際し、特別なスローガンを作り、特別なロゴ、またそれを使った記念品まで作っていたようだ。
記念品には、「響け! 轟け! 最高の今池 IMAIKE CLIMAX STAGE 1969-2024」と書いている。

FullSizeRender

幕を下ろした後はすぐ照明を消し、あっさりと終わった。

始まりも、終わりも、雨だった。

ダイエー今池店、閉店当日は大雨であった。
皆の悲しみの表れか、それともボスの涙か…。

閉店日は大雨だったが、実は開店当日も小雨模様だったそうだ。
雨に始まり、雨に終わる今池店であった。


やっぱりこれか

閉店から1週間も経たないうちに、こんなニュースが飛び込んできた。



お店だけではなく、なんと、隣にある平面駐車場も合わせて売ったという。
マンションが経つという噂もあるが、東海地区でピンクの看板を掲げて下駄履きで入った例は聞いたことがないので、復活は絶望的だろう。

いやはや、売り上げが良かったのにも閉店するのは老朽化だけじゃなくこうして売る場合もあるのか…。

実は

地元局も取材に来ていた模様。

「一人暮らしのサラリーマンが夕方、仕事帰りにお惣菜をよく購入するなど、今は売り上げ自体は好調」
うーむ、閉店の基準が全くもって謎である。

さて、ここは開店時期が時期なので、中内CEOから授与された「繁栄の鍵(Key)」があるらしいといわれている。
神戸に送っておいてほしいと願うばかりである。