残りわずか
2024年も残り5時間を切った。今年も激動の1年であったダイエーを振り返る。
1月10日 ダイエー、「お弁当・お惣菜大賞2024」で優秀賞!
1月10日、ダイエーは「お弁当・お惣菜大賞2024」のパン部門において、14000件あまりの商品の中から「D'sコッペ(白身タルタル)」が初めて優秀賞を受賞したと発表。この商品は関東事業本部管内でしか販売されていないようだが、優秀賞を受賞するということはきっとおいしいのだろう。
ちなみに、パン部門で優秀賞を受賞しているスーパーマーケットチェーンはダイエーのほかに「ユニバース」という東北のスーパーがある。
いつかは最優秀賞を狙ってほしいところである。
2月29日 ダイエー今池店、歴史に幕を下ろす
2月29日、愛知県名古屋市千種区にある「ダイエー今池店(0127)」が閉店。店長が挨拶をしていた。店長は「ダイエーの名古屋出店1号店」と言っているが、実は「東海地区初出店」であることを補足しておく。これは確かな資料で確認している。
なお、筆者は閉店当日に閉店セレモニーに参列し、記事を記しているのでそちらもご参照願いたい。
3月1日 ありえない組織変更が発表される。
3月1日、小売業としては新年度初日に当たる日に、ダイエーは組織変更を発表した。その内容がとんでもないものであった。
「関東事業本部」と「近畿事業本部」といった組織を「関東支社」「近畿支社」という形の支社に変更し、それぞれに重複する組織をつくる、といったものである。
これが何を意味するか。そう、会社をぶった斬ることが容易に想定できるわけである。
ダイエーの関東地方の出店については一徳の買収に始まり、赤羽戦争をはじめ、首都圏レインボー作戦などかなり力を入れてやってきたと記録がある。
そういったところがわからない人たちが分断を計画しているのかもしれない。
(For the Customersは言うだけでなく実践するもの。どこを向いているのだろうか。)
会社は、一度斬ったら二度と元には戻れない。
幹部がダイエーの歴史をきちんと知っているのかが気がかりである。
4月1日 身だしなみ基準を変更
4月1日、ダイエーは従業員の勤務時における身だしなみ基準を変更すると発表。これは時代の変化に伴い価値観が変化していることを踏まえ、業務に支障がない範囲で基準を変更するといったものである。
これは最初は驚いたが、問題はないように思う。大切なのは、お客様に対する姿勢、こころの部分である。
「あの人金髪や!態度悪そう!」といったことがないように消費者側も気をつける必要があるだろう。
4月5日 向ヶ丘にダイエーが復活!!
4月5日、ダイエーは神奈川県川崎市多摩区に「AFS向ヶ丘店(0898)」をオープンした。ここには2020年9月30日までダイエー向ヶ丘店(0230)があった。
その跡地に野村不動産が商業施設をつくり、そこの核店舗といった形での復活となった。
実に約3年半ぶりである。
ここは旧店舗の頃に1回行っているが、新店舗となってからは未踏の地なので行かなければと考えているところである。
5月27日 千船店が移転縮小するとの知らせ
5月27日、ダイエーは大阪市西淀川区にある「グルメシティ千船店(0834)」が6月23日をもって閉店し、斜め向かいにある阪神千船駅高架下に移転すると発表。ここは1973年12月6日に丸栄商事が運営する「サカエ千船店」としてオープン。
以来実に50年5ヶ月強もの長い間営業を続けてきた。
移転するとのことであったが、元の建物は限界が近いのか満身創痍な感じに見えた。
新店舗の様子は後ほど。
6月23日 千船店が長い歴史に幕を下ろす
2023年8月31日、大阪市平野区にあるグルメシティ千船店(0834)が閉店。店長が挨拶をしていた。店長の挨拶で、「感動したこと」について触れられている。
近くの小学校3年生の児童が社会見学に来られたことがあったそうで、閉店に際しその時に来てくれた児童が店長にお礼を言いにやってきたというのだ。
子供からお礼を言われるお店。愛されている証拠である。
ただ、ここは老朽化が進み満身創痍の状態。
お客様に不便をかけることがないよう移転ギリギリまで営業したようである。
なお、筆者はこの閉店の際に店舗へ向かって直接店長の挨拶を聞いている。
その際、近畿支社長がいるのを見かけたのだが、かなり緊張した記憶がある。
6月27日 シン・千船店オープン
6月27日、ダイエーは大阪市西淀川区に「AFS千船店(0899)」をオープンした。店内は旧店舗とくらべて小さく感じた。
それもそのはず、旧店舗は2フロア、新店舗は1フロアなのだから。
なお、ここの閉店10分前の放送を聞いたが、「ごはんがおいしくなるスーパー」としか言っておらず、肝心な「ダイエー」の文言が含まれていなかったのだ。
実に中途半端である。
7月 特に動きはなかった。
7月。ニュースリリースなどを調べたが大きく動いたことはなかった。8月21日 三田店が閉店する!?
8月21日、兵庫県三田市にあるダイエー三田店(0700)が2025年2月28日をもって閉店するとの知らせが飛び込んできた。どうやら館側が建て替える意向を示してきたとのこと。
36年だそうで、まだまだ若いのだが、どうなんだろうか……。
8月31日 ダイエー鹿児島店、涙の閉店。
2024年8月31日、鹿児島県鹿児島市にあるダイエー鹿児島店(0492)が閉店。店長が挨拶をしていた。ただのスーパーではなく、鹿児島市民の思い出が詰まった宝箱だ、という声も聞かれるくらい、鹿児島では愛されているお店だったようだ。
店長の挨拶で印象に残っているのは、今年の5月の大型連休に行われた「ふれあい動物園」のイベントの際の一幕。
お店の前にある動物のモニュメントのところで、店長が様子を伺っていたところ、幼稚園ぐらいの女の子を連れた母親がいるのを見かけたそう。
その母親が子供に「ママね、子供の時に、この動物の背中に乗って、パパとママに写真を撮ってもらったんだよ」という話をしながら、今度は自分の娘を動物の背中に乗せて写真を撮っていたのだという。
映像を見ながらこのエピソードを聞いた時は涙が止まらなかった。
このエピソードを選んだ店長、本当にすごい。
また、店長自身、「この店の従業員は、明るく、元気で、そして頑張り屋で、わたしの自慢のスタッフです」とも言っている。
「スタッフたちは鹿児島市内のお店や近所の企業で仕事を続けていく。見かけた際は声をかけてあげて」
「恥ずかしがり屋の人たちだけど、きっと喜ぶと思う」
…スタッフ側からしても自慢の上司であろう。
こんな店長なかなかいない。歴史についてもしっかり語っているし、相当勉強されたのだろう。
それと人柄。優しく、かつしっかりしている店長であるように感じた。
鹿児島店は鹿児島の人たちが語り継ぐことにより永遠に生き続けることだろう。
8月31日 ダイエー松戸西口店、涙の閉店。
2024年8月31日、千葉県松戸市にあるダイエー松戸西口店(0309)が閉店。店長が挨拶をしていた。このお店は1977年9月20日、ダイエー松戸店としてオープン。
1977年といえば松戸駅に駅ビルができた年だそう。
それから6年、1983年に「Dマート松戸店」へ業態変更。「赤い看板のDマート」である。
2006年にもう一度ダイエー松戸店へ戻る。この頃は全館直営であった。
2017年にダイエー松戸西口店へと変わり現在の形となった。
このように地域の皆様に支えられダイエーは成長してきた、と店長の挨拶で語られた。
46年ともなると、「親子3代、思い出の場所」というメッセージが来ていたそう。
メッセージを読んで、「たくさんの皆様に愛されていたのだと実感した」とのこと。
「わたしたち従業員も地域の皆様が大好き。ダイエー松戸西口店が大好き。この松戸が大好き。こんなに大好きなのに本日でお別れをしなくてはならない。本当に残念でならない」と店長は続ける。
「地域の皆様に買い物の不便をかけること」に対してのお詫びもあった。
店長から最後のお願い。
「わたしたちは、ダイエー松戸西口店がこの松戸に存在してきたこと、皆様と一緒に成長しづづけたこと、皆様から、愛されていたこと、絶対に忘れない。ぜひ皆様もダイエー松戸西口店がこの場所に存在してきたこと、皆様と一緒に成長してきたこと、絶対に忘れないで。」とのことだった。
やはり思い浮かぶのは、ダイエーグループの従業員の行動指針、ならびにお客様への誓いを記した「ダイエーグループの誓い」の3番。「人を愛し、店を愛して、日々美しい努力を続けます。」だ。
ダイエーの人はとにかくお店が好き、地域が好き、人が好きなのだ。
そして、日々美しい努力を続けてきたからこそ、お客様から愛されるお店へと成長できたのだと考える。
跡地がどうなるかはわからないが、復活して欲しいところである。
9月20日 レジでも座る時代に。
9月20日、ダイエーは関東支社管内のほとんどのお店にレジ係員専用のイスを導入したと発表。これはいきなり全店導入ではなく、関東支社管内7店舗で検証を続けていたようで、その結果、接客サービスの向上につながること、お客様から一定の理解を得られたことから79店舗へ広げることを決めたようだ。
近畿エリアでも実証実験中のようだが、どこでやっているのかがわからないので気になるところである。
なお、関東支社管内の店舗で実際に座っている従業員を見かけたが、接客サービスに何の問題もなかったことを申し添えておく。
10月31日 2代目ダイエー三国店、閉店。
2024年8月31日、大阪市淀川区にあるダイエー三国店(0873)が閉店。少しだけ挨拶をしていた。(なぜ2代目と書いているのか、については阪急三国駅前に初代店舗があったからである。)
挨拶では「皆様のおかげで今日まで続けてこれた。本当に感謝している。ダイエー三国店が閉店するが、近くには東三国店(0807)とか、江坂(0805)とか庄内(0758)いっぱいダイエーがある。従業員もそれらの店に行く。そういう意味ではダイエーとしてこの地区にまだまだ貢献させていただける。この三国での皆様とのご縁を大切にして、また新たな形で皆様とお会いできることを楽しみにしている。今日まで本当にありがとう」といったようなような内容の話をしていた。
あっさりとした挨拶のように見えるが、そこに水を差すようなお客様が一人。
何があったのか「お金返してください!」と詰め寄る一人の女性客。
最後の最後で水を刺すのは水を差すのはやめていただきたいところ。
なお、筆者はこの閉店の挨拶も現地で聞いている。だから現地の様子をはっきり覚えているのだ。
11月1日 ダイエー3店舗、また屋号変更。
11月1日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。ダイエーのお店をまたÆONが持っていくというのだ。
ニュースリリースを読む限りでは、「店舗資産のさらなる有効活用」とある。
お客様の方を向いていないように見える。「お客さま第一」は言っているだけなのだろうか。
おそらく長くは持たないだろうと考えているが、果たしてどうか。
ちなみに、屋号変更の対象店舗は下記である。
ダイエーおおとり店(0340)と、ダイエー東大阪店(0863)が2025年1月31日をもって閉店、2025年3月1日に持っていかれる。
2代目ダイエー西宮店(0862)は、2025年2月28日をもって閉店、2025年4月1日に持っていかれる。
2代目ダイエー西宮店は旗艦店として改装してそれほど時間が経っていないところなのだが、改装が無駄になってしまう。
ダイエーが弱体化に向かっていないか危惧するところ。
なんでもÆON、それでいいのか……。
なお、これで終わりだと思ったが、そんなことはなかった。
12月20日 ダイエー大宮店、屋号変更。
12月20日、またまた衝撃的なニュースが飛び込んできた。今度はダイエー大宮店(0719)を持っていくというのだ。
ここは大宮駅前にある「DOM(ドン)」という施設に入っているお店なのだが、「DOM」の由来は「Daiei・Omiya・Marui」の頭文字をとって付けられている。持っていかれると意味が変わってしまうのだ。
どこまで欲しがるのか、どこまで欲しがれば気が済むのか。
全くもってよくわからないが、駅前立地の歴史あるお店がまたひとつ失われることとなった、
激動すぎる2024年
ダイエーにとり、今年はいろんなことがあった一年であった。今年は閉店が計4店舗(AR:1店舗、AK:1店舗、D:2店舗)となった。
しかも、来年には現時点で何店舗か閉店予定が決まっている。
これ以上、ダイエーを減らさないでという願いを込めて、2024年を終えようと思う。
今年もお世話になりました
2024年もお世話になりました。私事ながら、今年はダイエーに関する同人誌の第8弾の制作を発表しました。2025年1月に頒布を開始します。
いろんな方にお読みいただきたく思っています。
特に、ダイエーなんてもうないでしょ、ダイエーってどこにあったんだっけ、と思っている人に読んで欲しいです。
2025年も、スーパーゆかりとダイエーをよろしくお願い申し上げます。
皆様どうぞ良い年をお迎えください。