ダイエー長吉店、惜しまれつつ閉店。
去る2023年8月31日、大阪市東部にあるダイエー長吉店が閉店。今回は閉店日の様子についてレポートする。
別の敷地に駐車場棟がある特殊立地
長吉店は1987年3月30日オープンの店齢36歳。1987年といえば今年劇場版の新作が公開される「シティーハンター」がテレビで放送された年。あの「Get wild」が生まれた年でもある。
元々は駅前の再開発により建てられたお店である。
これがその証。
エレベータのサインはダイエー矢印。
駐車場棟にあったオレンジエスコート作戦のジャケットではないおじさんの看板。これは珍しいものだ。
店内は一部改装されて綺麗になっていた。しかし閉店。
閉店の挨拶
今回、セレモニーらしいセレモニーはなかった。と、いうより挨拶があまりにも短く切り取るところがないため、ここに全文を掲載する。
みなさん、閉店のため、こんなに多くの方にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。テープおこしに近い感じで全文を記したが、何か気づくことはないだろうか。
ダイエー長吉店として1987年3月にオープンいたしました。
もしかすると、この中でもダイエーの開店の時、お店に来られた方、いらっしゃるのではないでしょうか。
(周りを見渡す店長)
ありがとうございます。
まあ、そういったお客さまに支えられましてこの37年間、無事営業することができました。
本当に、ありがとうございます。
私は、あの、店長をさせていただいてここで5店舗目になります。
えー、それこそ、朝、昼、晩。決まったお時間に、毎日、お顔を見せてくれるお客さま。
複数いらっしゃいます。本当にそういった、お客さまに支えられてね、しっかり営業できた。ということで、改めまして、感謝申し上げます。
明日からはもう、お店がなくなってしまいますので、お買い物するところがございません。
本当に申し訳ございません。
また、お買い物だけではなく、お友達とおしゃべりする。
まあそういった景色も明日から、見られなくなると思うと、 本当に残念で仕方ありません。
これからは、平野区には「喜連瓜破駅前店」がございますので、ぜひそちらのお店、この長吉と同じように、ご愛顧いただきますように、お願い申し上げます。
最後になりましたけれども、今日、暑い中こんなにお集まりいただいて、ありがとうございます。
皆様方の、ご健勝とご多幸をお祈りして、ご挨拶とさせていただきます。
本日は、本当に暑いところ、こんなにお集まりいただきまして、お見送りいただきまして、ありがとうございます。- 長吉店閉店の挨拶
実はこのお店、「閉店する」とは言っていたものの、「閉店の理由」が最後まで明かされることはなかったのだ。
どこかで映像をご覧になった方や、現地にいた方はわかるかもしれないが、挨拶の終盤に閉店を知らず買い物に来て、従業員に止められた地元住民と思しきお客さまの怒りの声が聞こえたのだ。
「なんで買い物でけへんのや!」と。
よく考えたら、最寄駅となる出戸駅のすぐ近くには代わりになるスーパーはない。
これを読んで地図を見たそこのあなた。「自転車で行ける距離ならあるんちゃう?」
いや、駅前にあることが重要なのだ。
出戸駅前にダイエーがオープンすると聞いてマンションを購入した人もいると聞く。
歩いて買い物に行けるというのはひとつ利点なのだろう。
お店は誰のためにあるのか?
さて、閉店の理由を最後まで明かすことなくお店を閉めた長吉店。ここで考えてみよう。
お店は、誰のためにあるのだろうか。
会社のためだと答えたら、それは会社都合でお客様のことを考えていないことになる。
お店は、お客様の為にあるのだ。
これはいろんな人が言っているが、ダイエーグループ総帥である中内㓛CEOも同じ考えだったといわれている。
ダイエーが昔あまり閉店しなかったのはこの考え方があるからともいわれている。
また、それを裏付けるものとしてダイエーグループの飲食業態であった株式会社ハブの太田社長もこう仰っている。
中内さんからの教えでもあります『店はお客様のためにある』との考えを私は持っています。今回の閉店、お客さまには閉店理由が明かされぬままであるが、お客さまに対する責任を果たしているといえるのだろうか。
一度出した店には、お客様に対する責任が生じます。従って撤退も安易にするべきではないのです。
余談
このお店には2023年8月現在で大阪市内唯一となるドムドムハンバーガーがあった。館の閉店に伴い、ここも閉店。
大阪府内はついに3店舗まで減ってしまった。(吹田、深井駅前、津之江FC)
昔はもっとたくさんあった。
もちろん京橋にも。金剛にもあった。
ドムドムハンバーガーを探して、遠くまで行かねばならなくなっている。
ぜひとも大阪市内に再出店してほしいところである。