ダイエー新在家店、惜しまれつつ閉店
去る2025年2月15日、兵庫県神戸市灘区にあるダイエー新在家店が閉店。今回は閉店日の様子についてレポートする。
新在家の駅前で20年弱あったお店
ダイエー新在家店はもともと四国を地盤とするマルナカのグループ会社、山陽マルナカの新在家店として2004年8月にオープンした模様。それから時は流れ2019年3月1日、山陽マルナカから株式会社ダイエーのマルナカ事業部へ移管。
2021年12月1日からはダイエー新在家店へと店名変更をして、いまに至る。

マルナカを隠したであろうパネル

ネオンとダイエー仕様の装飾のコラボレーション

店舗奥に置かれていた酒樽の数々。
灘は酒処ゆえに、ということなのかもしれない。

従業員からお客様に向けてのメッセージ。

最初が店長ではなく副店長から始まっている。

各部門からの感謝の想いが綴られている。

名物おかずバイキング。
閉店時間が近くなると置かれていた見本用のものも販売に回すなど臨機応変な対応が取られていた。

ダイエーによくあるらしい資材の販売。
私は初めて見た。

「鮮魚お買得」の品名で消費期限がつけて売られているのもまた面白いものである。

マルナカ時代からあると思われるサイン。

何かが隠れているゴミ箱。

レジ周り。
セルフレジが大変混雑していたが、案内役の従業員は「比較的奥のレジも空いております」と臨機応変な案内をしていた。
実際、案内していたレジは空いているというよりガラガラ。しかしお客様にはあまり届いていないようであった。
なお、この従業員、案内する内容のスクリプトを持っているようで、少し驚いた。
閉店セレモニー
閉店時間は18時。だが時間通りにいかないのがいつもの話。
18時10分くらいまでは入店を許していたようで、意外であった。
18時15分頃だったか、正面の出入口が閉鎖。イートインコーナー横の出口のみが利用可能になっていた。
お客様を見送っているのは従業員ではなくなんと支社長。びっくりである。
18時30分を過ぎても挨拶は始まらない。
店長は待っているお客様に対して「後で挨拶はする」と声をかけていた。
18時40分、ようやく挨拶が始まった。
登壇者は新在家店の店長、西原さん。
今回も、挨拶の全文を掲載する。
はい、それでは、大変長らくお待たせいたしました。
こんなに遅くまで残っていただきまして誠にありがとうございます。
当ダイエー新在家店の店長、わたくし西原と申します。
本日は、多数ご来店くださいまして誠にありがとうございました。
ダイエー新在家店、20年前にですね、マルナカ新在家店ということでオープンいたしました。
そして、ダイエーマルナカ新在家店、そしてダイエー新在家店として、約20年間、この新在家の駅前で商売をさせていただきました。
本日まで、大変お世話になりました。
ただ、今回の営業終了につきましてはですね、あくまで「店舗建て替えのため」の営業終了でございます。
何も「新在家店がなくなる」というわけではございませんので、本当に、その辺はご安心いただきまして、また新しく店ができましたらですね、是非とも足を運んでいただきたいなあ、という風に思います。
あの、ダイエーはですね、この神戸の地で誕生いたしまして、神戸の街の皆様と一緒にですね、成長してきたお店です。
あの、いまですね、やはり、いろいろ、関東や、中部や、九州からですね、いろんな新しいスーパーが、ディスカウントストアが、出店して参っておりますが、いつまでもですね、「よい品をどんどん安く」皆様にご提供できる、本当に皆様に信頼していただける、安心してご利用いただける、スーパーマーケット、新在家店はしばらく営業を休止いたしますが、六甲道店、それから奥に行きましたら灘店、甲南店、六甲アイランド店、それから三宮、摩耶海岸と、この周りにはいっぱいのダイエーがございます。
是非ともこちらのお店の代わりに、是非ともですね、引き続き、このダイエーを愛し続けていただきたいなあ、という風に思います。重ねてよろしくお願いを申し上げます。
本当にですね、皆様には、いろいろお叱りやご忠告、こういったことをたくさんいただきました。
本当にありがとうございます。
ここにいる従業員のみんなも、僕のですね、わがままを非常に聞いていただいて、「お客様のために」と日夜奮闘してまいりました。是非とも従業員にも皆さん、拍手を送ってやっていただきたいと思います。
(拍手)ありがとうございます。
何年後か、数年後かに、こちら、ダイエー新在家店は、リニューアルオープンできる予定だと思います。
是非ともその日を、1日も長く、1日も早く、迎えることができますように、わたくしも頑張りたいと思っております。
最後にですね、わたくしの一番好きな歌詞、歌の歌詞がございます。
それになぞらえまして、皆様に最後の一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
ダイエー新在家店の歌、ということで、
六甲颪(おろし)に颯爽と
聳え立つお店を建てまして
蒼天翔ける日輪の
ピカピカのお店に生まれ変わる
ダイエー新在家店
輝く我が名ぞ ダイエー新在家店
どうぞ、よろしくお願いをいたします。
是非とも、またお会いしましょう。
本当に今日は、ありがとうございました。
本当に、ありがとうございました。
店長の素晴らしく、また面白いネタを交えた挨拶であった。
また、他のエリアから攻めてくる競合他社に対しても「私たちはがんばるぞ」との意志を示した挨拶も珍しいものである。
替え歌が完全に六甲おろしなのもまた兵庫県のお店らしい。
(店長が虎党なのかもしれないが)
さて、オレンジ色にして一番文字を大きくしている部分はダイエーの大切な考え方なのである。
「よい品をどんどん安く」これはいま「基本理念」などと言われているが、そんなお題目のようなものではなく、「ダイエー憲法」とも呼ばれる創業時から伝わる大切な考え方である。
「お客様のために」これもダイエーの創業時から言われ続けている「For the Customers」である。
正しくは、「お客様のためになること、お客様に喜んでいただけることが常に正しい」という意味を持つ。
まとめ
マルナカ発祥のお店ということで、どんな挨拶なのか、と思っていたがやっぱりそこはダイエー。店長のお店や会社への愛が詰まっていた。
また、地元のお客様もダイエーだから、ということで利用していた方もいたように見受けられた。
それゆえに「お世話になったから」と何も言わずにセレモニーの開始を待ち続けた婦人もいた。
やはり神戸、ダイエーを愛し、ダイエーに愛される街なんだと改めて感じた。
新店については是非とも「ダイエー」屋号での出店を強く望む。